イタリアのプラート(Prato)の再訪問〔20010年2月〕

 2007年、3ヶ月間のVisiting Research Fellowとしてフィレンツェ大学に訪問滞在していたとき、Pratoには何度か調査のために足を運んだ。当時、すでに多くの中国人が住み着き、衣服(完成服)ビジネスを大規模に展開していたが、2年半後再訪問したときは、Prato地域の中国人コミュニティはさらに規模を拡大させ、ヨーロッパ最大の中華街としてますます「成長」していた。

 中国人コミュニティの「成長」は、社会的・経済的・政治的なイシューとしてイタリア社会に大きな影を落としている。不法滞在者の増加による治安問題や、ハングリー精神に満ちた中国人の勤勉さの必然的な帰結としての経済的成功(地元のイタリア人にとっては相対的・ゼロサム的な喪失)、噂される不法行為(cf.,税金逃れ)、地域社会に対する閉鎖生など、Prato行政側は対策に苦心していた。

 Pratoの中国人は、チャイナータウンの中で自分たちの生活を完結させていて地域社会とほとんど交流を持たないことが大きな問題になっている。この問題を解決するために、Pratoの行政は最近、中国人コミュニティとの関係形成や、中国企業とのコラボレーションによるビジネスチャンス拡大に活躍できる人材育成に力を入れ始めている。

 その人材育成プログラムとして、中国(人)に精通した人材の養成のために立ち上げたのが、「CEDIC」である。CEDICとは、日本語に意訳すると、「中国との国際関係進展のための文化・経済(経営)・法律に関するトレーニングコース」である。本コースは年間150時間の授業時間で、Prato行政がイニシアティブをとり、フィレンツェ大学の先生たちが企画・運営(講義)している。地元の企業も多数参加して資金的な支援を行っている。このような人材育成プログラムが順調に実を結び、中国人(企業)とイタリア人(企業)がうまく協力することでPrato地域が再活性化することを期待してやまない。 

Pratoの中華街の中心道路


中華街のスーパーマーケットに設置された求人広告のモニタに群がっている人々(※温州地方からイタリアドリームを求めてPratoに来た中国人)